2020年12月31日木曜日

第45回 「環境との出会い 」 埼玉県西部環境管理事務所 莊埜 純佑

 私は、埼玉県のみどり豊かな山とたくさんの水辺に囲まれた環境の中で育ちました。小学生の頃は、夏休みともなれば日が暮れるまでセミ採りに熱中しそのまま夜はカブトムシを採りに出かけたり、近所の沼に行ってはザリガニ釣りやドジョウつかみに夢中になったりと自然を大いに満喫していました。

 そんな自然豊かな環境の中で育った私ですが、中学生の時に「総合的な学習の時間」で学校のそばを流れる川の水質を地域の方々と一緒に調査しました。調査は、試薬の入ったチューブの中に水を吸い込ませ水の色の変化で汚れ度合を調べるというものでした。川の水は上流域ということもあり汚れてはいませんでしたが、一緒に調べた台所排水はすごく汚れていました。そんなことは頭では分かっていましたが、水の汚れ度合を色で判断するということが面白いと思ったことを覚えています。この体験が、これまで漠然と接していた「環境」を、測ったり改善したりするという具体的な興味の対象として意識するようになるきっかけとなりました。

 それから、高校では化学に興味を持ち、大学で環境科学を学んだ後、現在は埼玉県の職員として環境部で働いています。

 県の職員になるにあたって分かったことですが、埼玉県は海なし県でも実は県土面積に占める河川の割合が3.9%で日本一、さらに鴻巣市と吉見町の境を流れる荒川の川幅が2,537mとこちらも日本一でした。ただ、水辺環境に恵まれた埼玉県ですが、県内には国土交通省が発表している一級河川の水質測定結果ワースト5常連の綾瀬川や中川も流れているのです。

 このような特徴と課題を抱える中で、県では川の再生に取り組んでいます。この取組みでは、土木工事によるハード面での親水空間の創出なども行っていますが、地域住民との連携・協働に重点を置いています。計画段階から地域住民の方々の意見を取り入れ地域の実情にあった川づくりを進めるとともに、地域住民と一丸となった生活排水対策も行っています。私はこの取組みにおいて、ソフト面での支援という形で川の再生活動をされている方々と直接接することができました。活動されている皆さんは、川への愛情に溢れ、より良い川にしようと一生懸命活動されており、そのやる気と行動力には圧倒されました。おそらく、川をきれいにしようと頑張っている方々の熱意も埼玉県が日本一だと思います。

 きっと、小学生だった私に水質調査を教えてくれた地域の方々も、熱意を持って接してくれたのだと思います。その結果、今では逆に私が学校の授業などで子供たちに環境の大切さを伝える立場になってきました。もしかしたら、私の話を聞いて私と同じように環境に興味を持ってくれる子供が出てきてくれるかもしれません。将来、そんな子供たちが大きくなって、より良い環境づくりのために机を並べて一緒に仕事ができる日がきたらいいなあと思います。



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