開催情報
主催 (公社)日本水環境学会関東支部
期日 2024年1月26日(金)
見学先 ①物聞沢水質管理センター
②長野堰用水円筒分水
参加者 16 名
見学会概要
今回の見学会は、散水ろ床法の下水処理場と円筒分水堰を見学しました。最初の見学先は、散水ろ床法の下水処理場である「物聞沢水質管理センター」です。散水ろ床法は、大学で学んだ方も多く知名度は高いかと思いますが、現状では、伊香保にある2か所のみが国内で残っているとのことです。処理場の特徴としては、浄化のための曝気動力が不要なことから超省エネ、脱炭素に貢献できる水処理方式となっている点です。山の傾斜をうまく活用し、その高低差で散水機を回転させている点も興味深い施設となります。
現地では、まず渋川市上下水道局業務課、日本下水道事業団群馬事務所のご担当者様より物聞沢水質管理センターの特徴や、現在実施している建替え工事についてご説明いただきました。(写真1)
「物聞沢水質管理センター」では温泉水が多く水温が36度と高温であること、処理効率が高級処理並みであること、浄化された水は、農業用に利用されていること、自然流下による水圧を利用することから電気代が極めて安価であること(家庭用エアコンよりも少ない電力で済んでしまうとのご説明には一同驚愕でした)などをご説明いただきました。
次に2班に分かれ、実際に新・旧の散水ろ床を見学させていただきました。平成24年度に施設の老朽化から、維持管理や処理水利用状況などを含め検討した結果、現在の位置に現施設で採用している散水ろ床方式により再構築することになり、現在再構築工事の施工を進めている段階とのことです。現在この施設内には旧散水ろ床と新散水ろ床が両方ある状態です(写真2)。また、内部も見学させてもらいましたが、温泉水が高温であり1月の寒さもあって、湯気で眼鏡のレンズやカメラのレンズが曇ってしまうハプニングもありました。
伊香保温泉で少し休憩を挟み、バスで約50分ほどかけて群馬県高崎市にある長野堰用水円筒分水に向かいました。見学したのは、長野堰用水を象徴する施設のひとつで、長野堰用水の最下流にあり1962年(昭和37年)に完成した円筒分水堰です。平地の住宅地の中に忽然と姿を現しました。現地では、長野堰土地改良区(水土里ネットながのせき)のご担当者様より詳しくご説明いただきました。(写真4,写真5)
円筒分水堰に取水している鳥川は、江戸時代より水量が少なく、干ばつのたびに下流域では水争いが絶えなかったため、水の少ない時でも、下流の水田面積に応じて平等に水を配分する必要があり、自然落差を利用して4つの堰に正確に受益分配されるよう設計された、全国でも珍しい分水施設とのことです。この施設のおかげ下流域での水争いの歴史に終止符を打つことになったとのことですが、実際に近くで見ると見た目にも美しく、設計者の思いを感じることのできる施設でした。また、2016年(平成28年)国際かんがい排水委員会(ICID)において、長野堰用水が建設から100年以上が経過し、歴史的・社会的価値のあるかんがい施設として、世界かんがい施設遺産の登録となったとのことでした。
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